研究内容
全体
医療提供など、質や効率がひとの判断や行動に大きく依存する業務について、業務支援システムやアンケートによって収集されるデータ分析をふまえ、エビデンスに基づく業務運営に資する研究を行っている。また、医療に限らず、経営管理や企画など、ひとが情報や知識を使いながら判断する業務に対しても応用を進めている。現実世界での問題・課題について、複数の要素から構成されるシステムとして記述し、分析・再設計を行うことであるべき状態に近づけるというアプローチをとっている。また、異なる専門性をもつ研究者や、異なる視点をもつプレイヤと積極的に議論し協働することを尊重しながら活動している。

研究テーマの紹介
(1)医療の質向上
製品・サービスの品質には、2つの側面があるとされている。顧客ニーズをどの程度満たす仕様となっているのかを示す「設計品質(計画の質)」と、どの程度その仕様通りにできているのかを示す「適合品質(実行の質)」である。
医療提供においても同様に、患者ニーズをどの程度実現できる医療提供の計画となっているかを示す「計画の質」と、計画をどの程度実行できるかを示す「実行の質」の2側面を考えることができる。ここで、「計画の質」は業務方法がどの程度確立しているかに依存していると考え、医療業務プロセスの標準化やプロセス管理に関する研究を進めている。一方、「実行の質」は医療提供に従事する要員の力量に依存していると考え、力量管理に関する研究を進めている。


関連プロジェクト
1)プロセス管理
医療業務は、多様で専門性の高いヒト・モノ・情報などの資源が投入されて行われる無形の活動であることから可視化が重要である。一般的な業務プロセスの設計手法の一つである業務機能展開を、医療固有の特徴を考慮しながら体系的に実施することで、医療業務を構成するサブシステムとして、モジュールが明らかになっている。
多種多様な業務について共通する観点での可視化が可能となっていることで、どのような範囲にどのような再設計を行っていくのか、様々な題材で研究に取り組んでいる。
2)要員配置と力量管理
業務がうまく実行されるには、プロセス自体が設計されていることに加えて、配置される要員の力量が充足している必要がある。すなわち、質保証を実現するには、業務に必要な力量を保有する力量を持つ要員を配置する必要がある(必要力量≦保有力量)。
さらに、そうした力量を管理するためには、業務に適した力量評価項目の整備を踏まえ、力量評価の実施結果に基づく教育によって力量を向上していく仕組みを構築する必要がある。


(2)社会システムの質向上
〇地域における健康づくり事業の分析
〇骨髄など幹細胞提供を可能にするドナー休暇制度導入促進